はじめに:2026年4月3日、ケアマネ更新制度の「大元」が動いた

ケアマネジャー業界にとって歴史的な転換点となるニュースが飛び込んできました。
2026年4月3日、政府は「介護保険法等の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出しました。

長年、私たちを精神的にも肉体的にも追い詰めてきた「5年ごとの更新制度」がついに廃止され、新たなステージへと移行しようとしています。

「やっとあの牢獄研修から解放される!」

そう叫びたい気持ちを抑えて、まずは冷静に「法案の骨組み」を読み解いていきましょう。
そこには、手放しでは喜べない「新たな義務」と、私たちが賢く生き抜くためのヒントが隠されています。


1. 「更新制」から「義務研修制」へ。何が変わるのか?

今回の改正の目玉は、「資格の有効期限」の撤廃です。これまでのように、有効期間を1日でも過ぎたら資格が失効し、またゼロからケアマネの実務研修をやり直す……という地獄のようなリスクはなくなります。

しかし、代わりに導入されるのが「定期的な研修受講の法的義務化」です。

比較項目現行制度(更新制)新制度(義務研修制)
資格の有効期限5年(過ぎると失効)なし(生涯有効)
研修の性質更新のための「条件」専門職としての「法的義務」
未受講のペナルティ資格の喪失業務禁止・停止命令

要するに、「資格は一生モノにするけれど、プロとして研鑽(研修)を積まないなら、仕事はさせないよ」という仕組みへの掛け替えです。

2. 「主任ケアマネ」という高すぎる壁と、現場の絶望

私たち主任ケアマネジャーにとって、今回の改正はより複雑な思いを抱かせます。

現在、居宅介護支援事業所の管理者になるには「主任ケアマネ」が必須要件です。
しかし、この資格を維持するために私たちがどれだけの犠牲を払ってきたか、国はどこまで理解しているのでしょうか。

  • ケアマネ合格まで5年、そこから主任取得までさらに5年。合計10年の「下積み」が必要。
  • 主任ケアマネの更新研修を受けるために、毎年4回以上の指定研修を自腹、かつ自分の時間を削って受講する。※その他にも更新研修受講資格をクリアするための条件あり。
  • それだけの苦労をして管理者になっても、待っているのは「低すぎる報酬(無報酬)」と「ストレスだらけの通常業務」。

正直に言いますが、私は自分の子供に「この業界の仕事はやるな」と言っています。
これほどまでに責任が重く、自己研鑽という名の「時間の搾取」が激しい仕事を、大切な家族に薦められるはずがありません。
だけど、親が行っている仕事を子供に勧められないのはとても悲しいことです・・・

この「参入障壁の高さ」と「見返りの少なさ」を放置したまま、研修制度だけをいじっても、ケアマネ不足は根本的には解決しないでしょう。

3. オンライン研修の「不都合な真実」と「時間の搾取」

新制度では、研修の負担軽減のために「動画視聴(eラーニング)」がメインになるようです。これは一見、歓迎すべきことです。

更新研修というと、過去には大きなホテルなどで対面研修で行われていましたが、コロナ禍でオンライン研修へ切り替わりました。
「会場費がかからないオンライン研修なのに、なぜ以前より受講料が高くなっているのか?」と、謎の高額な研修費用を5年毎に徴収される仕組みがこの研修なのです。

これからも研修費用を徴収されるようなら、結局は研修を計画する組織の集金システムになっているのではないか・・・という疑念を拭い去ることはできませんよね。

また、これまで問題だったは、「研修に出ている間も、困難事例の対応やモニタリング、担当者会議は待ってくれない」という点にあります。

何日もある研修のせいで業務が滞り、残業が増え、結果としてサービスの質が下がる。これこそが、制度の最大の矛盾だったと思います。
さらに、この研修が原因で、ケアマネの必須事項である毎月の訪問やモニタリング、サービス担当者会議などができなかったときでも、給付管理費の減算、返戻対象となってしまい、とても極悪なこのシステムこそが、ケアマネジャーを退職に追い込み、新たな担い手が生まれない原因の一つとも言えるでしょう。

新しい研修は自分が好きな時間に受講できるようになることが検討されているようですが、どうか負担を大幅に減少できて、本当に学ぶことができる内容としていただきたいと思います。

4. 令和10年3月が主任ケアマネ有効期限の私が出した「答え」

私の主任ケアマネ資格の有効期限は、令和10年3月までです。
通常なら令和8年度〜9年度に更新研修を受けるタイミングとなり、今年受講する事も出来ます。

確実に更新するために今年受講する事も考えましたが、私は「来年度(令和9年度)まで受講を待つ」ことに決めました。

  • 理由: 令和8年度(今年度)はまだ「旧制度」の重い研修が残っています。
  • 戦略: 令和9年4月からスタートする「新制度」を待てば、研修内容はスリム化され、動画視聴メインの効率的なカリキュラムになることが閣議決定で示されています。

わざわざ「高額で時間がかかる不便な古い研修」を今受ける必要はないかなと思います。
主任ケアマネの更新研修は違った研修になることも想定されますが、今後も情報を確認していきます。


おわりに:私たちは「自分の時間」を取り戻すべきだ

今回の法改正で、研修時間は「年間数時間」程度まで圧縮される方向で議論が進んでいます。これは、国が「これ以上ケアマネを拘束すると、業界が崩壊する」とようやく認めた結果でしょう。

研修という名の「儀式」に奪われていた時間を、私たちは本来の仕事である「困難事例への支援」や「自分自身の人生」に取り戻すべきです。

制度は変わりますが、私たちの価値を決めるのは国ではありません。いかに効率よく義務をこなし、残ったエネルギーをどこに注ぐか。賢く、したたかに、この荒波を泳ぎ抜いていきましょう。


【免責事項】

本記事は2026年4月8日現在の閣議決定内容および公表されている法案資料に基づき、執筆者の個人的な見解を交えて構成したものです。実際の運用ルールや詳細な研修時間、費用等については、今後の国会審議や各自治体の発表により変更される可能性があります。最終的な判断にあたっては、必ず厚生労働省や所属自治体の最新情報をご確認ください。


編集後記:ケアマネジャーに光は差すか?

「研修が動画になる」ことは小さな進歩かもしれません。しかし、管理者要件の緩和や報酬の大幅引き上げなど、根っこの問題は山積したままです。このブログでは、今後も「お金」と「キャリア」のリアルな視点から、介護業界の真実を発信し続けます。