令和8年(2026年)6月、ケアマネジャーの介護報酬体系が大きく変わります。

令和7年12月分から開始された、令和7年度介護職員処遇改善補助事業補助金(介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業)が6月で終了し、新たに一本化された「介護職員等処遇改善加算」へと完全移行します。

私もこの補助金については12月分から3月分までを職場から一度に支給していただき、4月と5月分は各々の給与で支払われる予定となっています。
処遇改善加算も頂いたことがなかったので、高市早苗首相へ感謝をしつつ、有難く使わせていただきます。

6月より算定する事業所は、4月半ばに介護職員等処遇改善加算の届け出締め切りが終了しています。
行政へ提出する計画書作成の中で「事業所に入る加算額」は算出されていると思いますが、今回はそれが全額個人の給与に反映されるわけではありません・・・

ケアマネ目線ではここは残念。

「自分はいくらもらえるのか?」という疑問に対し、標準的なシミュレーションと、法人内での分配の仕組みを詳しく解説します。


1. 【人数別】居宅介護支援の新加算(2.1%)支給額シミュレーション

居宅介護支援事業所における処遇改善加算の率は 2.1% です。

ケアマネジャー1人あたりの標準的な売上(担当36件前後・月間報酬約50万円)をベースに、事業所に支給される加算総額を試算しました。

ケアマネ人数月間総報酬(事業所合計)処遇改善加算額(月額合計)1人あたりの加算額
1人
(特定事業所加算は算定せず)
450,000円9,4509,450円
2人1,000,000円21,000円10,500円
3人1,500,000円31,500円10,500円
4人2,000,000円42,000円10,500円
5人2,500,000円52,500円10,500円

※実際の支給額は、担当件数や算定加算によって変動します。


2. なぜ計算上の満額がもらえないのか

計算上は1人あたり約1万円ほどの加算算定額がありますが、実際のベースアップ額がそれより低くなるケースは多々あると思います。

私の職場はこの加算額の半分ほどを令和8年度の昇給として設定すると提示がありました。
私が当初期待していた額には及びませんでした・・・

その主な理由は以下の通りです。

① 法人内での一律昇給と他職種への分配

今回の新制度では、ケアマネジャー以外の事務職員やその他の職種への配分が柔軟に認められています。

日頃、私たちの複雑な書類作成や電話応対を支えてくれる事務員さん。
この方々がいなければ、私たちはもっと仕事が増えてしまいます。
「居宅の売上で稼いだ加算だけど、チームみんなで分け合おう」という法人の判断があれば、1人あたりの金額は当然少なくなります。
でも、これはチームの士気を高める上では必要な投資とも言えますね。

② 法定福利費の事業主負担分への充当

ここが盲点です! 給与が上がれば、会社が負担する健康保険料や厚生年金保険料も増えます。
実は、「加算額から、増えた分の社会保険料(事業主負担分)を支払っても良い」というルールがあるんです。
ざっくり言うと、昇給額の約15%程度は会社負担の保険料に消えていく計算になります。

③ 安定的なベースアップと賞与への振り分け

「毎月の基本給(ベア)を上げすぎると、将来売上が落ちたときに下げられなくて怖い……」 経営層はそう考えがちです。そのため、加算額の半分を毎月の昇給に、残りの半分を「冬のボーナス」としてまとめて支給する、という形をとる事業所も多いはずです。

【POINT】ボーナスへの活用はOK?
はい、可能です! 処遇改善加算は「月給(ベースアップ)」と「一時金(ボーナス)」の両方で使うことができます。ただし、今回の制度では「一定割合以上を月給(ベースアップ等)に充てること」が強く推奨・義務付けられているため、全額ボーナスというのは難しいのが現状です。


3. 「他部署は一律昇給」のモヤモヤ感

「今まで居宅には加算がなかったのに、新設された途端、他部署の人たちも一律で昇給している……」
この状況に納得がいかない方もいるでしょう。
訪問介護(24.5%)などの高い加算率を誇る部署がある一方で、居宅は2.1%。

本来、各部署の加算率に応じた配分が理想ですが、法人として「職種間の格差を埋めるために平準化する」という判断を下すケースは少なくありません。

私たちケアマネが「稼ぎ頭」ではないかもしれませんが、地域包括ケアの要として動いている自負はあります。この金額の差を見ると、正直「これだけ?」と思ってしまうのは、プロとして当然の感情です。

4. 他サービスとの比較:居宅の「2.1%」は多い?少ない?

今回、居宅以外にも多くのサービスで加算率の改定が行われています。他部署と比較した際の「立ち位置」を確認しましょう。

サービス種別新加算Ⅰ の率1人あたりの加算目安(月額)
訪問介護24.5%約2.5万円 〜 3.5万円
特別養護老人ホーム14.0%約1.8万円 〜 2.5万円
通所介護(デイサービス)9.2%約1.2万円 〜 1.8万円
訪問看護(※ベースアップ評価料等含む)5.2% 〜約1.5万円 〜 2.0万円
居宅介護支援(ケアマネ)2.1%約0.8万円 〜 1.3万円

訪問介護の24.5%などと比較すると、居宅の2.1%は決して高いとは言えません。
しかし、これまで対象外だった居宅ケアマネジャーが、高市早苗首相の推進する「所得拡大施策」によって正式に処遇改善の枠組みに加わったことは、大きな前進ですよね。


5. 【主任ケアマネの知恵】昇給額をどう活かす?

正直に言いましょう。この昇給程度では、生活が劇的に変わることはありません。
しかし、ここで「なんだ、これっぽっちか」と諦めてしまうか、「これをどう増やすか」と考えるかで、10年後の未来は変わります。

  • 新NISAへの自動積立: 増えた給与を「なかったもの」として、そのまま新NISAの積立投資に回してみませんか?
  • 年利5%で運用できれば: 毎月5,000円を20年積み立てると、元本120万円に対し、約200万円(+80万円!)になる可能性があります。

国からもらえるお金が少ないなら、その「種銭」を賢く運用して、自分で自分の首を絞めない未来を作る。これが、これからの時代を生き抜くケアマネの「資産形成術」です。

6. さらなる処遇改善を目指して

今回の処遇改善加算による昇給額は、決して満足できるものではありません。

しかし、この加算は「売上(総報酬)に連動する」という大きな特徴があります。
担当件数や加算の適切な算定によって売上が増えれば、事業所に入る加算額も増えていきますね。
売り上げを計算して遅れて支払われるところは、頑張って売上を伸ばせば、加算額も増やすことができるますね。

この前向きな仕組みを活かし、事務員さんたちへの感謝を忘れず、チーム一丸となってさらなる高みを目指していきましょう!