2026年に成立した改正法により、介護支援専門員証の更新制を廃止する方向は法制化されました。
厚労省は今回、実際に新制度へ移る日を2027年12月1日とする方針を示しています。
ただし、10月26日の審議会資料で示されたのは施行方針です。最終的な施行日や細かい運用は、政令・省令、自治体通知などを確認する必要があります。施行前に有効期限を迎える人は、現在の更新ルールで対応する必要があります。
| 項目 | 現行制度 | 新制度での方向性 |
|---|---|---|
| 資格の更新 | 介護支援専門員証は原則5年ごとの更新 | 証の有効期限・更新制を廃止 |
| 研修 | 更新と研修の修了が結び付いている | 実務従事者に定期的な研修受講義務 |
| 研修の受け方 | 指定日程での集中受講が多い | 原則5年間で分割、オンライン・オンデマンドを基本 |
| 研修未修了 | 期限到来で証が失効し、業務ができなくなる | 直ちに停止ではなく、確認・受講命令など段階的に対応 |
| 事業者 | 個人の更新管理が中心 | 受講機会の確保・従事状況の報告などを義務化 |
新しい法定研修は何時間?旧制度と比較
今回の発表で特に重要なのが、研修時間数の比較です。
以下は厚労省資料3の10ページ「介護支援専門員法定研修の見直し概要(案)」から整理したものです。「以上」は最短時間を意味し、各実施主体の詳細な日程・演習方法は別途確認が必要です。
| 対象・研修 | 現行 | 見直し案 | 変更 |
|---|---|---|---|
| 資格取得時の実務研修 | 87時間以上 | 87時間以上 | 変更なし |
| 専門Ⅰ → 初任研修 | 56時間以上 | 42時間以上 | 14時間短縮 |
| 専門Ⅱ・実務経験者の更新研修 → 定期研修 | 32時間以上 | 32時間以上 | 時間数は維持 |
| 再研修・実務未経験者向け更新研修 → 復職支援研修 | 54時間以上 | 15.5時間以上 | 38.5時間短縮 |
| 主任介護支援専門員研修 | 70時間以上 | 70時間以上 | 変更なし |
| 主任更新研修 → 主任定期研修 | 46時間以上 | 46時間以上 | 時間数は維持 |
初任研修と定期研修をあわせると、新たに就業したケアマネの最初の5年間の受講時間は42+32=74時間以上という設計です。
現在の専門Ⅰ56時間+専門Ⅱ32時間=88時間以上と比べると14時間減ります。
一方、主任ケアマネの定期研修は46時間以上で、時間数そのものは減らない案です。
「更新制廃止=主任の46時間研修も廃止」と理解しないようにしましょう。
初任研修42時間・定期研修32時間はいつ受ける?
初任研修は就業後6か月以上3年以内に受講する案
新しい「介護支援専門員初任研修」は、ケアマネとして就業後6か月以上3年以内の受講が想定されています。
42時間以上を、約2年半の期間に分割して受けられる仕組みです。離職期間は期間の計算に含めないとされています。
定期研修は原則5年ごとに32時間以上
「介護支援専門員定期研修」は、初任研修の修了者について、就業開始から5年を一区切りに5年間で32時間以上を分割して受講する設計です。
厚労省の研修体系フロー図では、就業後の最初の5年間に初任研修42時間と定期研修32時間を受講し、その後は5年ごとに定期研修32時間を受講する流れが示されています。
主任ケアマネは46時間を5年間で分割
主任介護支援専門員研修(70時間以上)の修了後は、最初の5年間は主任定期研修の受講を不要とし、その後は5年を一区切りとして46時間以上の主任定期研修を分割して受講する案です。
一般の定期研修32時間との関係など、実際の受講経路については今後の実施要領の確認が必要です。
主任という資格を保有しているだけで、あらゆる研修が免除されると断定することはできません。
オンライン・オンデマンドで5年間に分けて受講できる?
今回の資料では、研修を基本的にオンライン・オンデマンド形式とし、受講者の希望に応じて分割受講できるようにする方針が示されました。
講義部分には、国が一元的に作成した動画・スライドを活用することを原則として義務付ける方向です。国の研修資材は2027年4月から都道府県で使用可能とする予定で、演習については引き続き都道府県が実施します。国は演習用のマニュアルも作成する方針です。
つまり、「全科目を動画を見るだけで完結できる」と確定したわけではありません。オンライン中心の一方、演習の運営方法や修了判定などは今後の具体化を待つ必要があります。
分割受講イメージでは、介護保険制度・地域包括ケアシステム、倫理、リハビリテーション・福祉用具、認知症、脳血管疾患、誤嚥性肺炎、看取り、家族支援・関係機関連携など、実務に結び付くテーマを受講期間内に配置する例も示されています。これは受講イメージであって、確定版の全国共通日程表ではありません。
今働いているケアマネは、いつまでに新研修を受ける?
移行措置は「全員一律に2027年12月から5年」とだけ覚えると間違えやすい部分です。厚労省資料3の11ページには、現職者向けの特例が示されています。
| 対象者 | 今回示された取扱い案 |
|---|---|
| 施行時点で現にケアマネとして働いている人 | 原則、2027年12月1日を起点に5年間。ただし最初の受講期限は2033年3月末まで |
| 2027年度に旧制度の「専門Ⅱ・更新・主任更新研修」を修了する人 | 2030年3月末まで新制度の研修受講を免除し、その後は5年を一区切りに受講 |
| 施行前に介護支援専門員証の期限を迎える人 | 施行までは旧制度による更新手続きが必要 |
| 施行後に新たに就業する人 | 原則、就業開始日を起点に研修の受講期間を算定 |
「2030年3月末まで免除」は、2027年度に指定された旧研修を修了した人に対する特例です。すべての現役ケアマネが2030年3月まで免除される、という意味ではありません。
また、2033年3月末という期限は施行時点ですでに実務従事している人の新研修の初回受講期限として示されたものです。旧制度の介護支援専門員証の更新期限を自動的に延長するという意味ではありません。
自分の更新期限が2027年・2028年の場合はどうする?
2027年12月1日より前に期限を迎える場合
新制度の施行前は、現在の更新制が続きます。たとえば2027年11月に有効期限を迎える場合、施行方針が変わらずとも現行制度による更新手続きが必要になります。更新講習の申込み締切は、有効期間満了日より早いことがあるため、必ず登録先都道府県の案内を確認してください。
2028年2月に主任ケアマネ更新時期を迎える場合
新制度が予定どおり2027年12月1日に施行されれば、2028年2月は施行後です。そのため、旧制度の「資格を更新するための申請・研修」は原則として不要になる方向です。ただし、主任研修の修了日、介護支援専門員証の期限、既存研修の受講状況、経過措置の組み合わせによって確認事項が異なります。
特に主任ケアマネとして働き続ける人は、新たな主任定期研修の対象となります。厚労省が示した移行表と、今後の都道府県通知を確認してから、旧主任更新研修の申込みや取り消しを判断してください。
働いていないケアマネは研修が免除される?復職時の15.5時間
新制度の定期研修の受講対象は、実務に従事しているケアマネジャーです。離職や育児・介護による休職、病気休職、災害等で従事できない期間は、原則として受講期間の計算から除外する方向です。
復職する際には、54時間以上の「再研修」に代わり、15.5時間以上の復職支援研修を設ける案です。対象として次の人が示されています。
- 直近の退職から3年以上経過して復職を希望する人
- 登録後、実務経験がないまま3年以上経過し、就業を希望する人
- すでに介護支援専門員証が失効しており、就業を希望する人
ただし、フロー図では施行前に離職して3年未満の人や、離職中も定期研修・主任定期研修を受講している人などが対象外となる扱いも示されています。復職支援研修を受ける必要があるかどうかは、個人の履歴によって変わるため、最新の実施要領で確認が必要です。
管理者・事業者は何をする?「従事届・非従事届」は10日以内の案
今回の見直しは、ケアマネ本人だけの問題ではありません。居宅介護支援事業所や施設など、ケアマネを雇用する事業者にも新しい義務が課されます。
雇用・退職などの情報を都道府県へ報告
厚労省資料では、事業者が「従事届/非従事届(仮称)」を都道府県へ提出する制度が示されました。雇用した日や退職などの事実発生から10日以内に報告する案です。
非従事届の対象には、退職のほか、育児・介護の事情、病気休職、災害など、一定期間受講が難しくなる場合も想定されています。書式や提出方法は今後示されます。
勤務時間中の研修受講を「労働時間」として扱う方向
事業者は、雇用するケアマネの研修機会を確保するため、勤務時間中に受講する研修時間を労働時間として扱うこと、業務の配分や人員配置などを調整することが想定されています。
管理者としては、従業員の研修を「休みの日に各自で受けてください」で済ませるのではなく、受講の進捗を把握し、業務調整ができる体制を用意する必要があります。研修費用の負担割合や細かな労務運用は、最終的な通知や事業所の就業規則等と合わせて確認しましょう。
研修を受けなかったら、直ちに資格を失う?
新制度では、研修受講期間を過ぎても直ちに業務停止になるわけではありません。まず自治体が、事業者が受講機会を確保しているか確認します。
- 事業者が受講機会を確保していなければ、自治体が必要な措置を求める
- 事業者が対応しない場合、勧告・公表・命令などが段階的に行われる
- 事業者が対応しているのに本人が正当な理由なく受講しない場合、本人へ受講命令を出す
- 本人が命令に従わない場合、1年以内の業務従事禁止となる可能性がある
「更新制度がなくなるから研修に行かなくていい」ということではありません。資格が期限切れで直ちに失効する仕組みから、受講状況を管理して履行を促す仕組みに変わると理解すると分かりやすいでしょう。
研修費用は安くなる?決まっていないこともある
オンライン化や分割受講により、移動時間や連続休暇の負担が減る可能性があります。ただし、新制度の受講料金・教材費・演習の実施形態・修了認定の具体的方法は、今回の資料だけでは確定できません。
参考として、2026年5月15日の衆議院厚生労働委員会で政府側は、旧制度の更新研修の受講料平均を初回約5万9,000円、2回目以降約2万5,000円と答弁しています。これは旧制度の平均であり、改正後の受講料ではありません。
「初任研修が42時間になる=受講料も同じ割合で安くなる」とは限りません。費用は都道府県や研修実施機関の案内を待つ必要があります。
研修制度の変更を機に、今の職場で働き続けるか迷ったら
新制度では、事業者が研修の受講機会を確保し、勤務時間や業務の配分を調整する方向が示されています。制度が変わった後も、実際に学びやすい職場かどうかは、事業所ごとの体制によって違いが出る可能性があります。
今の職場で研修を受けられるか、研修費の負担はどうなるか、休みを取れるか。職場選びや転職を考える際には、給与だけでなく、こうした条件も確認したいところです。
仕事や転職について考えを整理したい方へ(書籍紹介)
北野唯我さんの『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』は、年収だけではない職場選びの判断軸を、物語形式で考えられる書籍です。研修制度そのものの解説書ではありませんが、研修負担などをきっかけに働き方を考え直している方には、一つの参考になります。
職場をすぐ変える必要はありません。まずは今の事業所の研修支援制度を確認し、自治体の無料の公式資料や図書館の本を利用する方法もあります。本書は出版社による内容紹介を参考にしたもので、実際に読んだという体験談ではありません。
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よくある質問
Q.ケアマネ更新研修は2027年4月からなくなりますか?
いいえ。更新制廃止の施行日は2027年12月1日とする方針です。2027年4月から使える予定なのは、国が作成する研修資材です。2つの日付を混同しないようにしましょう。
Q.主任ケアマネの更新研修46時間は廃止されますか?
資格更新の仕組みは廃止される一方、主任定期研修46時間以上が示されています。時間数の削減は今回の案では示されていません。ただし5年間に分割して受講できる予定です。
Q.初任研修42時間を受けたら、その5年間は他の研修は不要ですか?
そうではありません。新たに就業する人の最初の5年間について、フロー図は初任研修42時間+定期研修32時間を示しています。
Q.現役ケアマネの最初の受講期限はいつですか?
施行時点で現に実務に従事している人は、原則として2033年3月末までに新しい定期研修を受ける案です。2027年度に旧研修を修了した人には別の受講免除措置が示されています。
Q.研修を受け忘れたら、すぐに業務停止ですか?
改正後は直ちに停止する仕組みではありません。ただし、都道府県からの受講命令に従わない場合、1年以内の業務禁止につながる可能性があります。
Q.主任ケアマネの管理者要件もなくなるのですか?
資格の更新制度と、居宅介護支援事業所の管理者の配置要件は別の論点です。管理者要件の見直しは2027年度介護報酬改定に関する別の審議で検討されています。今回の更新制廃止だけで管理者要件の変更が確定したわけではありません。
まとめ|更新制廃止後は「研修を受けない」のではなく「分けて受ける」
2026年10月26日の厚労省資料から読み取れるポイントをまとめます。
- ケアマネ更新制廃止の施行日は2027年12月1日とする方針
- 初任研修は42時間以上、定期研修は32時間以上
- 主任定期研修は46時間以上、復職支援研修は15.5時間以上
- 基本的にオンライン・オンデマンド、原則5年間で分割受講
- 施行時点の現職者は初回2033年3月末まで、2027年度の旧研修修了者には別途免除措置
- 事業者には研修機会の確保や、従事・非従事に関する報告義務を課す方向
研修時間が減らない部分もありますが、日程調整や受講方法が変わることは現場にとって大きな変更です。特に管理者は、従来の「資格の有効期限管理」に加え、今後は「5年間の受講進捗管理」「従事届などの報告」「勤務時間の確保」を意識する必要があります。
最終的な施行日と都道府県の申請案内が公表されたら、この記事も更新していきます。
関連記事:2027年度介護報酬改定|居宅介護支援の見直し7論点(管理者要件と研修未受講に関する報酬上の議論は別記事で整理)
関連記事:ケアマネの求人票の見方|月給だけで選ばない年収比較と面接で聞くべき質問(転職先に確認したい研修費用・受講時間の扱いを解説)
参考資料・出典
- 厚生労働省:第137回社会保障審議会介護保険部会(2026年10月26日)
- 厚生労働省:資料3「介護支援専門員法定研修の見直しの検討状況について(報告)」(特に5~11、14~16ページ)
- 衆議院厚生労働委員会(2026年5月15日)議事録(旧制度の研修費用に関する政府答弁)
※この記事は2026年10月26日に公開された厚生労働省の審議会資料に基づきます。研修体系・時間数・移行措置は同日の見直し案・施行方針として示された内容であり、個別の更新申請・受講判断は登録先都道府県の最新案内で確認してください。