「ケアマネの更新制廃止」
12月15日の社会保障審議会・介護保険部会で決まったこの方針、皆さんはどう受け止めましたか?
第一報を見たときは「やっとあの研修地獄から解放される!」と喜んだ私ですが、部会の資料(資料1)を詳しく読み込むと、そこには「天国」と「地獄」が入り混じった複雑な真実が書かれていました。


確かに、私たちを長年苦しめてきた「あの理不尽なルール(即資格喪失)」はなくなります。これは間違いなく朗報です。
しかし、その一方で「現場の負担(研修受講義務)」の根幹は温存されたままなのです。
今回は、今回の決定で「何が良くなったのか(3つの改善点)」と、
それでも現場が抱える「納得できない課題」について、現役ケアマネジャーの視点で徹底解説します。
1. 【朗報】ここだけは評価したい!3つの「天国」
まず、国が現場の声に耳を傾け、改善したポイントを評価しましょう。これは長年私たちが求め続けてきた、確実な前進です。
① 「うっかり失効=即・資格喪失」の恐怖がなくなる
これまで最も理不尽だったのは、更新研修を受け忘れたり、間に合わなかったりすると「直ちに資格を失い、業務ができなくなる」という運用でした。
今回の資料にはこう明記されました。
「更新制と研修受講の紐付けがなくなり、研修を受講しないことで直ちに資格を失い、ケアマネジャーの業務ができなくなるといった取扱いがなくなる効果が見込まれる」 (出典:第131回社会保障審議会介護保険部会 資料1 P30 )
これにより、「研修に行けなかった=即失職」という異常なプレッシャーからは解放されます。精神衛生上、これは非常に大きいです。
② 「ペーパーケアマネ」は研修免除へ
「今は現場を離れているけど、資格だけは維持したい」。そう思って数十万円払って研修を受けていた方、もうその必要はありません。
「ケアマネジャーとして従事していない期間については研修を免除」 される仕組みになります 。
復帰するときに受講すればOKとなるため、育児や介護、転職で現場を離れるハードルが下がります。
これは人材確保の観点からも素直に「良い改正」です。
③ 「研修=労働時間」がより強力に
ブラックな事業所では「研修は休みの日に行け」と言われがちですが、国は今回、かなり強い表現を使っています。
「ケアマネジャーを雇用する事業者に対して、研修時間について労働時間として扱うことについて引き続き周知徹底するとともに(中略)必要な配慮を求める」 (出典:同資料 P30 )
これを盾にすれば、私たちも事業所に対して堂々と「業務扱い」を主張しやすくなります。
2. 【地獄】それでも私が「手放しで喜べない」理由
「なんだ、良いことずくめじゃないか」と思いましたか? いえ、ここからが本題です。
「最悪の事態(資格喪失)」は回避されましたが、「マイナスがゼロになっただけ」とも言えます。
現場の負担感の根本は解消されていません。
① 結局、「無意味な研修」義務は続く
更新手続きという「ハンコ」は不要になりましたが、「定期的な研修の受講」は引き続き義務です 。
国は「時間数の縮減を検討する」 と言っていますが、中身が変わらなければ意味がありません。
- 「で、結局なに?」で終わる、生産性ゼロのグループワーク
- 「現場では通用しない」と言いたくなる、現実味のない事例検討
これらに貴重な時間を費やす構造は温存されたままです。
② 免除対象なのに「グループワーク地獄」を味わった実話
私は主任介護支援専門員の資格を取得しています。
この主任介護支援専門員の資格ですが、こちらも5年毎の更新研修があります。
しかもその研修を受けるために、毎年年4回の指定研修を受ける必要があるのです。
私の事業所は特定事業所加算を算定しており、試験に受かった介護支援専門員に対する、実務研修の受け入れが必須となり、私自身が指導をしております。
そのため、上記に記載した主任ケアマネ更新に必要な年4回以上の対象研修については受けなくても良いのですが、それでも「ケアマネとしてより学びたい」という意欲で、毎年あえて研修に参加しています。
その研修内容ですが・・・

最初から最後まで、120分もの間、延々とグループワークでした。
議題ひとつに1時間。計2時間。
私のテーブルは発言が苦手な方ばかりで司会をしても議論にならず、ただ「時間を消費する」だけの苦行でした。
免除されている人間が、やる気を持って参加してもこの有様です。
こんな質の低い研修を「義務」として残すことに、何の意味があるのでしょうか。
「最悪」は脱した。次は「無駄」をなくしてくれ
今回の決定で、「うっかり失効=即・資格喪失」という最悪の欠陥が修正されたことは評価します。
まずは一安心です。
しかし、肝心の「研修の中身」はどうでしょうか。
今の研修制度が現場の役に立っているかと問われれば、私たち現役ケアマネの答えは迷わず「NO」でしょう。
「ペーパーケアマネ」は戻ってきやすくなりました。
次は、「現役ケアマネが時間を割いてでも行きたくなる研修」に作り変える番です。
ただ座って時間を潰すだけの「義務」ならいりません。
私たちが本当に欲しているのは、明日の現場で利用者を守るための「武器になる知識」なのです。
