資産形成のために自分のスキルアップを考える
「老後のためにNISAを始めたい。でも、毎月の生活費でカツカツ…投資に回す余裕なんて1円もない」
こんな悩み、抱えていませんか? 世間は空前の投資ブームですが、低賃金が常態化している介護業界では「そもそも投資に回す種銭(たねせん)がない」という方が大半です。
実は私もかつて、手取り12万円、夜勤17時間休憩なしという「超」がつくブラック施設で消耗していました。当時は投資どころか、明日の生活も不安でした。 しかし、ある決断をして環境を変えたことで、今ではホワイト企業で管理者を務め、毎月10万円をNISAに投資できています。
結論から言います。 手取りが低いまま無理にNISAを始めるより、まずは「環境を変えて(転職して)給料を上げる」のが資産形成の最短ルートです。
なぜ私がそう断言するのか? 今回は、私のドン底時代の実体験と、多くの人が見落としている「稼ぐ力(土台)」の重要性について、包み隠さずお話しします。
【実話】手取り12万・休憩なし…ブラック介護施設の実態
私は訪問介護員2級養成研修(ホームヘルパー2級 ※現・初任者研修)を取得し、ある株式会社が経営する地域密着型の介護施設に就職しました。
当時の給料明細は、今思い出しても恐ろしい数字でした。
- 基本給:約13万円
- 夜勤手当:1回3,000円
- 総支給:約15万円
- 手取り:約12万円
真夜中の夜勤を週4~5回こなして、この金額です。到底暮らしていけませんよね。 正直、学生時代は「高齢者の介護をしたい」なんて考えたこともありませんでした。毎日「仕事を辞めたい」とばかり考えていましたが、次に何の仕事をすればよいか分からず、辞めることができませんでした。
就職した会社は親会社が大きく、売り上げ管理や経費節減ばかりが厳しい職場でした。休みの日に系列施設へ宿直に行かされたり、他事業の手伝いをさせられたりと、俗に言う**「ブラック企業」**そのものでした。
休憩なしの17時間拘束
あっという間に3年が経過した頃、同僚のケアマネジャーが新設の特別養護老人ホームへ転職しました。 その縁で私にも声を掛けていただき、給与アップも提示されたため、転職を決意しました。
「この時に介護の仕事から離れていれば、今頃何をしていたのかな…」と振り返ることもあります。
転職した翌年に介護福祉士に合格し、手当が少し増えましたが、過去の記事にも書いた通り、当時の私は浪費家で貯金はゼロでした。
(参考:詳しい自己紹介はこちら)
転職先はユニットケアの特養だったため、リーダー研修を受講するなど、ますます介護の仕事から離れられなくなっていきました。 しかし、ここでも待っていたのは過酷な環境でした。
- 夜勤は毎月4~5回
- 拘束時間は17時間で「休憩なし」
転職先はまたしても超絶ブラック法人…。
2000年の介護保険制度導入以降、異業種からの参入が増えましたが、私が転職した施設も経営陣は土木関係出身で、介護のことなど全く分からない素人でした。
ここも辛かったですね…。 年齢を重ねるうちに「休憩なしの17時間労働」が体にこたえるようになり、責任ばかり押し付けられるポジションになったことで、「介護支援専門員(ケアマネジャー)の免許を取ろう」と考えるようになりました。
当時は「介護の現場から離れたい。デスクワークがしたい」という希望がとにかく強かったのを覚えています。
「環境」が変われば人生が変わる。超絶ホワイト企業への転職
5年の実務経験を経て、私はケアマネの資格を取得しました。
その翌年より、現在の職場である「居宅介護支援事業所」で働いています。
そこで待っていたのは、今までの常識を覆す「超絶ホワイト企業」でした。
- 定時で帰宅するのは当たり前
- 休日出勤はなし
- 毎年の昇給あり
- 退職金制度あり
労働基準法の改正や働き方改革の影響もありますが、私が痛感したのは「同じ介護の仕事でも、職場(法人)が違うだけで、こんなに労働環境が変わるのか」という衝撃でした。
なぜ、私は「NISAの前に転職(スキルアップ)」を勧めるのか
ここまで読んでいただいた方は、私が「元浪費家」である以前に、いかに「稼ぐ力」が低かったかお分かりいただけたと思います。
- 手取り12万円
- 休憩なしの17時間拘束
- 消耗するだけの労働環境
この状況で、どうやって「資産形成」ができるでしょうか?
最近はNISAやiDeCoがブームですが、もし当時の私がNISAの知識だけ持っていても意味がありませんでした。
手取り12万円では生活するだけで精一杯。投資に回す「種銭(たねせん)」がないからです。
これが、私がブログのタイトルにもした「投資(NISA)だけで満足していいの?」という問いかけの答えです。
自己投資こそが、最強の「稼ぐ力」と「守る力」になる
私がこの過酷な状況から一歩抜け出すきっかけになったもの。
それは、転職のきっかけをくれたケアマネジャーとの「出会い」であり、そして何より「ケアマネになろう」と決意した「自己投資」でした。
1. 「稼ぐ力」としてのスキルアップ 手取り12万円の現場職員から、資格(介護福祉士、ケアマネ)を取得することで、私は「専門職」としての市場価値を高めました。
給与が上がり、投資に回せる「種銭」を生み出す「稼ぐ力」そのものを強化できたのです。
2. 「守る力」としてのスキルアップ もっと重要なのが、「守る力」です。 資格(専門性)を取得したことで、私は「会社や職場を選ぶ権利」を手に入れました。
「休憩なしの17時間夜勤は無理だ」 「あの経営陣のもとでは働きたくない」
そう思った時に、「でも、私には何のスキルもないし…」と我慢して働き続けるのではなく、「資格があるから、別の職場を探そう」と行動できる。 これこそが、ブラック企業という災害から自分の心と資産を守る、最強の「守る力」です。
まとめ:資産形成の「土台」を作ろう
資産形成はよく「家づくり」に例えられます。
【資産形成=家づくり】
- NISA(投資): 家を豊かに彩る「家具」や「インテリア」。
- 稼ぐ力(給料): 家を支える「土台(基礎)」。
- 守る力(スキル・資格): 災害(ブラック企業)から身を守る「補強工事」。
どれだけ素敵な家具(NISA)を揃えたくても、そもそも家(土台)が建っていなければ置けません。 そして、その家を支える最も重要な部分が「土台(毎月の安定収入)」です。
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スキル(専門性)がないままブラック企業という「災害」に遭うと、土台ごと全てを失いかねません。
ですが、スキルアップという「補強工事」をしておけば、災害が来ても土台は簡単には崩れません。
それどころか、その「頑丈な土台(=専門スキル)」があれば、もっと安全で住みやすい土地(=ホワイト企業)に、新しく家を建てる(=転職する)ことだって可能です。
私は、手取り12万円で疲弊していた過去の自分に言いたいです。 「NISAの勉強と並行しながら、自分の価値を高める『勉強(自己投資)』をしろ」と。
もし過去の私と同じように、今の職場環境に心身を消耗していると感じるなら、自分の『市場価値』を知るためにも、一度外の世界を覗いてみる(=転職サイトで求人を見てみる)ことを強くお勧めします。
実際に私がどのようなサイトを使って情報を集め、どうやってホワイト企業を見極めたのかについては、別の記事で詳しくまとめています。 本気で環境を変えたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
